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【特別企画 共生社会を目指して】「片上みらい食堂」でリカバリーの居場所づくり

「備前未来プロジェクト」難波規子

片上みらい食堂-4

備前市で「カフェ」活動を続けています

 東京で「コミュニティカフェ」の養成講座を受け、備前市で「カフェ」活動を続けています。2017年2月社会事業大学で「コミュニティカフェ」の研究をされている倉持香苗先生を備前にお招きして、講演もしていただきました。家族会「もみじの会」や「KHJ岡山きびの会」に入っていますが、精神医療福祉の枠を越えて、地域と交流しながら、市民協働で地域の課題解決の助けになる活動ができればと思っています。

 2016年4月生まれ故郷の備前にUターン、半年後11月に自宅の一部を開放して毎週火曜午後「こむにたカフェ」をやっています。「こむにた」はイタリア語で共同体コミュニティの意味。イタリアの精神医療改革に感銘して研修旅行にも行ってきました。「足立心の友こむにた」という当事者会活動の名前の一部をもらって活動しています。

 「カフェ」の場を利用して、地域おこし協力隊の若者と小学生の興味を追及する「放課後探Q教室」をやりました。また、色々なテーマで食事会などを開催する中で、このプロジェクトは生まれました。㈱サンクスUPという会社をやっている松山将三郎さんや就実大学の林俊克先生のゼミ生も加わって、地域の公民館で「フューチャーセッション」を行いました。地域に広く呼び掛ける中、備前焼の映画「ハルカの陶」の監督さんも参加してくれて、備前の未来を考える機会を持ちました。その中で、地域交流の場としての「コミュニティレストラン」があるといいという提案がありました。

「片上みらい食堂」をオープン、「片上オレンジカフェ」を始めました。

片上みらい食堂-1

 そんな流れで、偶然閉店予定の食堂を引き継ぐことになり、2018年10月に月火水ランチ営業の「片上みらい食堂」をオープンしました。かなり無謀な計画でしたが、地域おこし協力隊の若者の協力や片上自治会協議会、地域の方々の協力もあって実現しました。

 片上地域は、認知症予防の活動や子育て支援の活動などもあり、まちづくり会議などの活動も盛んな地域です。そんな中、食堂の空き時間を使って、2020年3月には認知症カフェの「片上オレンジカフェ」を始めました。

 認知症カフェは、備前市の「地域包括ケアシステム構築補助金」を利用した地域包括支援センターの取り組みの一つです。高齢者が安心して暮らせる地域づくりの一貫として、スタッフ集めや研修などを行い、半年前から準備してきました。2020年2月1日には、東京から松本すみ子さんを講師に招いて講演会を企画。「人生100年時代 生きがいはわが町で見つけよう」と定年後も活躍していく生き方の提案をしてくれました。

 その直後から、コロナのパンデミックが始まって、公民館などもみんな閉鎖。行き場が無くなって、自宅でうつうつと過ごすしかない日々が始まりました。「片上みらい食堂」は民間個人営業なので、細々と営業を続けました。「会って話ができる喜び」や「つながりを作る大切さ」はより強く感じるようになりました。

去年夏から始めた「つながり交流会」

片上みらい食堂-2

 そんなコロナ禍が続く中、去年夏から始めた「つながり交流会」は、オンライン参加も可能な企画です。第1水曜1時半~3時と第3土曜10時~12時の平日と週末に設定しています。これまでも、「岡山自主夜間中学」の城之内さんやワーカーズコープの地域若者サポートステーションの方、発達障害の子どもさん達に関わっている理学療法士の方、岡山県精神障がい者団体連合会代表の鈴木健司さんにもお話ししてもらい、交流が広がっています。

 とかく行政や教育は各専門に区切られていて、他の分野とのつながりや連携が作りにくいように思います。民間の私たちがその垣根を越えて、つながりあうきっかけを作っていきたい。「つながり交流会」には、そんな願いがあります。

これからの活動

 ひそかな夢として「若者が自己実現できる地域を作る」というのを掲げています。私の活動は、不登校などを経験した息子のためにもなるようにと活動してきた面もありますが、これからの未来を作る若者のためにという願いもあるのです。

 昨年KHJのピアサポーター養成講座、今年は上尾市の福祉課がやり始めて10年という「ピアサポートを文化に」の講座にも参加しました。支援者だけでは解決が難しい課題もピアサポーターが入ることで解決の糸口が見つけていける、ピアサポート文化が個人や地域社会のリカバリーを促進していく、そんな機運が高まっていると感じました。全国各地で活躍しているピアサポーターのこれからの活躍が楽しみです。

 「ひきこもり支援センター」の研修やKHJの会合で「重層的相談支援事業」の話を聞きました。備前市の自立支援協議会の講演では「精神障がいにも対応した地域包括ケアシステム」の話がありました。精神保健福祉の推進に、子育てや教育、高齢者分野との連携が欠かせないものになってきています。広範囲の事はできないという声も聞きますが、地域に目を移すと、問題は単独では存在せず繋がっている現実があります。それぞれの専門性を発揮することも大事ですが、縦割り行政の狭間を埋める連携、「つながり」が必要だと感じます。

 「片上みらい食堂」の活動もこれからは、子ども達や中高生にも広がるつながりを作っていきたいと思っています。「こども食堂」など、若者と相談しながら企画していきたいと考えています。

片上みらい食堂-3

 「片上みらい食堂」は、「地域の人による、地域のための、地域の食堂」です。いろんな利用のしかたがあると思います。一人で抱えていてはどうにもならないことも、誰かと相談できれば解決の糸口が見つかるものです。なんでも気軽にご相談ください。楽しみながら、交流をひろげて、地域づくりの拠点として利用してもらいたいと思います。フェイスブックやホームページに企画の予定などは随時掲載します。これからも色々企画していきますので、是非、遊びにいらしてください。

片上みらい食堂ホームページ
https://katakamimiraisyokudou.jimdofree.com