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【特別企画 共生社会を目指して】アルコール依存症から 新しい人生へ

公益財団法人全日本断酒連盟
 (N)岡山県断酒新生会 三宅 公夫

NPO法人岡山県断酒新生会の歩み

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平成3年 自宅にて

 昭和41年1月29日に結成された岡山県断酒新生会が昨年で55周年を迎えることができました。故松村春繫先生と故山方名誉会長ご夫妻の出会いから、「この世から酒で悩む人をなくそう」! この言葉を目標に、当事者・家族・賛助会員が、心の健康と回復を支援しています。

 今までに、入会された会員は累計で2,450名になります。断酒に成功した人は、家族とともに悩み苦しんだ過去から、穏やかな日常生活を取り戻し幸せな日々過ごしています。

 「地獄を見たければ、アルコール依存症のいる家庭を見よ」などという笑えない話があります。

活動の内容

 県内の酒害に悩む人たちに断酒を進め、自発的な決意による断酒を実行する者を支援し、断酒によって明るい人生の建設を目指すとともに、酒害に関する啓発運動を行い酒害の及ぼす社会悪の防止につとめ、広く社会福祉に貢献する活動。

  1. 酒害に関する知識の普及と啓発
    (夏、冬の断酒研修会の開催。飲酒運転撲滅キャンペーン開催)
  2. 酒害に関する調査、研究並びに資料の整備及び機関誌の発行
    (ともしびの発行年3回)
  3. 酒害相談及び酒害者の自立指導
    (岡山禁酒会館、総社ふれあいセンターにて開催)
  4. 各地域にて断酒例会の開催
  5. 問題飲酒者更生各種行事の開催と参加
    (全断連主催の全国大会・中国ブロック大会)
  6. 関係各官庁及び医療機関との提携による酒害者救済
    (エスバーツの普及と促進)
  7. その他会の目的達成に必要な活動
    (新入会者の会、家族の会、女性酒害者の会開催)
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第46回 全国(岡山)大会
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瀬戸内例会

新しい人生を創る

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 アルコール依存症からの回復には断酒しかありません。その断酒のめざすところは、長い間の飲酒生活により、失われた自分自身、家族関係、そして社会性を正常な状態に回復することにあります。

 とはいえ、その社会性は飲酒という習慣のため、本来あるべき水準に比べて未成熟なままである場合も考えられます。また、失われた自分や周囲の関係修復にしても、長い時間を隔てた昔の状態に戻すということではありません。回復というよりは、酔いから覚めた新鮮な心で、新しい生き方を創造すると考える方が正しいと言えましょう。

 そのためには、同じような体験を共有し、そこから立ち直り新しい生き方を求めている仲間が集まる共生社会(自助グループ)に加わることが必要です。そこには、新生のための知恵が隠された宝庫があります。

断酒会について(依存症支援の輪を広げるために)

 断酒会は自助グループとして、その結成以来、アルコールに苦しむ人々が集まり、集団治療の場として互いに助け合いながら発展してきましたが、その存在や実態はあまり世に知られていません。

 それは、断酒会は積極的に自身をPRすることなく、酒害に困窮した末に訪れた人たちを迎え入れるという、いわば受け身の姿勢を続けてきたことによります。

社会資源としての断酒会に

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 しかし、日本全国で問題飲酒者約300万人、アルコール依存症者は約109万人と推定されている今日、断酒会も本来の設立目的である「酒害の及ぼす社会悪の防止につとめ、広く社会福祉に貢献する」という精神に立ち戻ることが求められています。常習飲酒運転問題対策、増大する自殺者対策問題など、背景にアルコール依存症者の存在が指摘される社会問題に関して、断酒会は自らを「社会資源」として活用できるよう体制を整えつつあります。

支援ネットワークの構築

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 依存症からの回復には、世界中にたったひとつでよいから、自分に正直になれる、安全な場所が必要とされています。断酒会は概ねこの要件を満たす共生社会を構成していると言えます。

 しかし、今日では、うつ病をはじめとする多重障害や、女性酒害者の急増、経済的問題の深刻化というように問題は多岐にわたるようになってきています。経済的・社会生活的に追い詰められている人には行政に、アルコール依存症以外に身体的・精神的な障害を合併している人には適正な医療機関に繋げるよう、他の民間団体も含めた地域の連携ネットワークを構築することが大切です。