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【特別企画 共生社会を目指して】「リカバリーカレッジOKAYAMA」に対する思い

リカバリーカレッジOKAYAMA
運営委員 鈴木健司 当事者

リカバリーカレッジに対する思い-1

「リカバリーカレッジ」とは

リカバリーカレッジに対する思い-2

 「リカバリーカレッジ」は医療福祉でもない新たな社会資源をということで2018年岡山でも始まりました。当事者、家族、支援者、地域の人がともに学びあい、創造する「カレッジ=大学」です。講座への参加者も20名程度おられ、皆さん生き生きと学びをともに深めておられています。

 学びにはリベラルアーツという言葉があり、それは学ぶことによって単に知識が深まるだけでなく、世界が広がり、自身ができることが増え、周囲も含めて人生が豊かになるというものです。まさに、これは「リカバリー=回復」、人間性の回復、心の病からの回復、「スティグマ=烙印、偏見」からの回復につながると思っています。

三つの大切にしている原則

 リカバリーカレッジには講座を作るときに三つの大切にしている原則があります。それぞれ、「希望=HOPE」、「機会= OPPORTUNITY」、「コントロール= CONTROL 」です。それは「出会いの場所」があって「自分のできること」や役割を持つことで「明日も見えてくる」感覚だと思っています。いずれも、「リカバリー=回復」に関係するもので、人がその人らしく、幸せに生きるために大切なことです。

「コプロダクション=共同創造」も大切にいています

 あと、「コプロダクション=共同創造」を大切にしています。講座の作成では共にアイデアを出して、お互いに刺激しあい、対話を大切に新たなモノを作っています。「リカバリーカレッジOKAYAMA」では地域の商店街の人と共に講座を作っています。文化背景の違った多種多様な人と人が平等に人として出会う機会があることにより、お互いが狭い世界から出て、見えていた世界が変化して、学びが深まります。そしてお互いに協力して「リカバリーカレッジ」という学び舎を形成しています。

日々の愚痴、情緒的なやりとりで癒される

リカバリーカレッジに対する思い-3

 ただ、今、医療福祉では支援者、当事者一緒に同じところで食事をしたり、日常の何気ない会話をすることが減っています。「構造化」といわれる、支援者である職員と利用者を分けて管理する手段を多用する流れが加速されており、同じ人間という感覚が激減していると痛切に感じています。あくまでも「障害者=問題のある人」と見られ、接されため、何かあら探しをされている感覚に襲われることが度々あります。それは利用者の抱える問題を解決することに支援者の意識が集中しており、その人の良いところ、日々の何気ない日常、好きなこと、趣味、「ストレングス=強み」に目を向けることが少なくなっていると感じております。

 僕はこころの病やしんどさから癒されるためには何気ない会話や、日々の愚痴、情緒的なやりとりが大切だと思っています。そこから生まれる何気ない空間、信頼関係により心のゆとり、遊びが生まれ、それまでないアイデアが生まれたりします。ですから、「リカバリーカレッジ」は従来あまり目のむけられていない当事者の健康な部分に目を向け、ともに対等な話し合いを通して、共同作業によって、今までの障害者の医療福祉にはないものを作り出す大切なものだと思います。

 そしてまた、ピアサポートをしていて感じるのは今の医療福祉から抜け落ちる当事者は多くおられます。そういう方のためにも各地域で人として対等で共に創れる社会資源があることで救われる方も多いと思います。同じ人間として話ができる場が一つでも増えて欲しいと痛切に願っています。