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愚痴庵の今

愚痴庵

 長い準備期間を経て、2年前の10月に「愚痴庵」という場が出来た。それから2年間コロナ禍で約2か月の中断はあったが、毎月2回(第一月曜日、第三日曜日13:00~16:00)開催されている。多い時は30名を超えることもあったが、参加者は概ね毎回20名前後。

 愚痴庵の会場(岡山市北区岩田町5-7カイロス2階)に入ると、まず名札を付ける。本名でなくてもよい。そしてめいめいが好きなところに座る。椅子に座ってもいいし、畳の上が落ち着く人もいる。そこに座ると不思議なことに、知らない者同士、自然に会話がはずむ。

 会場の出入りは自由である。移動も自由である。めいめい落ち着く場所に座る。そして話す。話をしなくてもいい。まわりの話声に静かに耳を傾ける人もいる。開催している約3時間、まったりと時が過ぎる。

 参加者の多くは、山本昌知医師の姿を目で追う。山本先生とお話をすること(またはお顔を拝見すること)を目的として参加される方が多い。愚痴庵は山本先生の診察室が発端である。

 山本先生はつねづね「人薬」の効用を言われていた。ある時「津久井やまゆり園」事件の衝撃を受けた患者さんから、「私も生きていてよいのだと思え、自由に話ができる場」が欲しいと言われた。患者さんの声と「人薬」が合体して、愚痴庵が誕生した。

 最近、人の人生は二通りあるのではないかと感じるようになった。
 財務省近畿財務局の職員で、森友学園との国有地取引に関する公文書の改ざんで命を絶った岡山出身の赤木さんのことを知って、ますますその意を強くした。ひとつは、人の犠牲の上に自分の人生を築く(森友に関係した官僚の)生き方。もうひとつは、人に支えられ、支えて自分の人生を築く生き方。

 想田監督は先の映画で、山本先生の患者さんを支えている姿を追った。今度の映画ではその山本先生が支えられていることを撮った。人を支える生き方は、人に支えられる生き方でもある。そしてそのような人生がいかに豊かであることか。

 いままで人を犠牲にして自分の人生を築いた人も、愚痴庵に来て欲しい。愚痴庵はそんなところである。

 生物学的な意味でのカラダは、診察室や手術室で多くは解決する。しかし「物語られるその人の人生のイタミ」までは治せない。愚痴庵は人薬の実践の場でもある。

 みなさまのご参加をお待ちしております。

 最後に愚痴庵のイベントを紹介させてください。コロナ禍で入場人員約100名ですが、ご興味ある方、ご参加いただければ幸甚です。


「ひきこもりってなあに~聴く、知る、つながる」

第1部ひきこもりについて
 馬場 貴裕さん(KHJきびの会)
 光岡 亜希子さん(NPO法人マザーリーフ)
 坂本 英克さん(総社市ひきこもり家族会「ほっとタッチの会」)
 小川 菜月さん(NPO法人ワーカーズコープ)
 星崎 憲太郎さん(NPO法人ワーカーズコープ)
第2部「山本昌知先生」に聴く
 山本 昌知医師
 葉山 朝子さん(岡山県ひきこもり地域支援センター)
  • 日時 2020年10月11日(日)13:00~16:00
  • 場所 きらめきプラザ301号室(岡山市北区南方2丁目13-1)
  • 会費 500円

[主催] 愚痴庵運営委員会
[共催] NPO法人ワーカーズコープ
[後援] 岡山県精神がい者団体連合会