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『がくまび』みんなで笑顔をつくりたい・地域でこども大人も笑顔に

 岡山県内外から集まった大学生たちと、地域の大人たちで構成される『がくまび』は、被災した真備の子どもたちが安心して遊べる居場所づくりを続けています。小学校が長期休みの時期や、放課後児童クラブが休みの日などに子どもたちと一緒に勉強をしたり、遊んだり、おやつを作ったりしています。企画は、地域の声を最優先にして「まなぼう」・「あそぼう」・「つながろう」の3つの思いを大切にしています。学生と地域の大人とが連携をしながら、地域全体が子どもの居場所になる未来を目指しています。

 2019年の夏は猛暑でした。親御さんとしては、子どもにゲームをして過ごさせるのは心配、避難所やみなし仮設では思いっきり遊ばせられない、仕事を休み続けるわけにもいかない、などの困りごとがありました。さらに、被災地では公園などの子どもが遊べる場所が極めて少なく、危険も伴うという地域課題も見えてきました。

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 「夏休みに小学生が過ごす場所が家しかない」という親御さんの声を聞き、県外からボランティアに駆けつけた井上萌香(山口大学)が、学童ボランティアサークルを立ち上げた寺尾朱音(くらしき作陽大学)と防災危機管理を学んでいる倉敷市出身の福井文菜(香川大学)に出会ったことがきっかけでした。境遇はバラバラでしたが、被災している真備のために何かしたいという強い思いが重なり3人は出会いました。

 「がくまび」は楽しいなと話してくれる子どもが多いことがとっても嬉しかったです。子どもたちからは、「友達がたくさんできる」「お兄ちゃん、お姉ちゃんが遊んでくれる」といった声をよく聞きました。年代のばらばらな友達が、いろいろな小学校から集まってきて遊べるのが楽しい。支援とか教育という感じがなくて大学生がただただ全力で遊んでくれることが子どもらにとっては嬉しいようだ。などと教えてもらいました。飽きさせないように色々な工夫を凝らしイベントを考えていますが、中でもクッキングやおやつ作りが人気です。みんなで一緒に買い物に行ったり、包丁の使い方を学んだり、お手伝いしたり、役割を任されたり、地域の方々との交流をしながら楽しい時間を過ごすプログラムです。

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親御さんからは、普段家ではなかなか出来ない経験をさせてもらえる。日中家にずっと一人で過ごさせるのは心配で困っていたので安心できた。とにかく子どもが楽しそうに話してくれる。放課後児童クラブが休みの土曜日に居場所があって助かった。子どもの優れた記憶力を最大限活用すると地域の情報把握ができるのが良い。などの好評をいただいています。公的な場ではないため、子供を預けることを不安に感じられる親御さんがいらっしゃるのも事実ですが、たいていの場合は紹介から輪が広がっており、親御さん自身もサポーターとして参画してくれています。被災状況によって使える場所も変わるため、活動場所は転々とせざるを得えないことが悩みの一つでしたが、場所が変わる事で、歩いて来られる子がいたり、いつも行けない場所に行けたりというメリットがあることにも気が付きました。また、不登校だった子が「がくまび」に来てくれたり、雨が苦手だった子も外に出て「がくまび」で過ごせるようにもなりました。2019年の8月はお盆と日曜を除いて毎日7:30~19時まで毎日開催し、多くの子どもに利用してもらいました。「がくまび」に行こうというよりも、片づけをしている時に遊んでくれたお姉ちゃんお兄ちゃんに会いに行こうという感覚なのだと思います。

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 活動資金のことや、情報共有体制をつくっていくこと、地域の方と一緒に活動することはとても大変なことですが、SOSを出すと地域の誰かが相談に乗って下さり、それぞれのネットワークを駆使して助けてもらうことができています。これは、大学内だけではできない貴重な経験となっています。

 学生が中心となって時間を確保し地域が場所を確保することで、限られた日程と時間ではありますが、一時的な家庭の助けになるような子供たちの預かりをすることができました。「がくまび」の活動自体は放課後児童クラブの活動に重なる部分も多いため、今後どのように位置づけていくかを考えていく必要があります。また、学生も大人も企画運営に割く時間や負担は正直少なくありませんし、当初メンバーは就職などの事情で活動から離れざるを得えない現実もあります。活動資金は親御さんからの募金に頼らざるをえない現状です。まずは、私たちの活動を広く知っていただき、賛同していただける方のご協力を頂きたいです。

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 これからは、ご近所同士での預かり合いができるような地域のつながりを学生が中心となって作っていき、この活動を地域全体で支え合えていく仕組みを作っていきたいです。

 「がくまび」を通じて子どもたちと地域のおじちゃん、おばちゃんたちとが自然と顔見知りになって、昭和初めの「向こう三軒両隣」の地縁が戻り、いつしか防災の強い真備になっていたら嬉しいです。